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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第32章 狐に嫁入り? ① / 🔥


それは突然に訪れた出会い ——

綺麗な丸い月が夜に上がったその時。その人は私のマンションのベランダに姿を現した。

「よ、嫁?私があなたの?」
「うむ!今日がその望月(もちづき)の夜!君を迎えにやってきたと言うわけだ」

世の中には摩訶不思議な出来事、摩訶不思議な場所が数多くあると思うけど、平々凡々に生活していた私にもやって来てしまった。

話の始まりは10年前に遡る——。





12歳だった私は夏祭りに一緒に来ていた両親とはぐれてしまい、途方に暮れていた。

迷子になった時はあまり場所を動かない方が良い。なんとなくそう感じた私は、たくさんの屋台が両脇に並んでいるその先にあった神社に足を踏み入れている所だ。

今、どれくらい時間経ったのかな。30分…?1時間?
早く見つけてくれないかな。心細さがまさって涙が出そうになったその時。

コーン……——

ん?鳴き声?これって狐??

それから複数回その声が続く。何だか困っているような…そう直感した私は導かれるようにその狐がいるであろう場所に行ってみた。

神社の裏手側。薄暗く、少し怖い。そんな雀の涙ほどの恐怖心を胸に抱いている私は目の前の光景にびっくりした。

小狐が縄で全身をぐるぐると巻かれており、その小さな体でぴょん、ぴょんと跳ねていたから。

“解いてくれ!”
必死な表情からそう訴えているように見える。



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