恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第30章 今日書くの、やめても良いですか? / 🎴
「はあ?書けないだと?何だそれ」
ここはとある出版社。連日色々な書籍が生まれている本の源流と言える場所。
この4月に入社し、小説部門に配属になった竈門炭治郎は編集長である宇髄天元に報告をしていた。
自分の担当作家である沢渡七瀬がスランプだ、と。
「先生、最近お付き合いされている方と別れたみたいで…それも婚約寸前の所でそうなったからダメージがひどいんだそうです」
炭治郎はここ最近の彼女の様子を思い出す。
『私、もう生きていけない』
『恋って何で滑り落ちていくの?』
『竈門くん、誰か良い人いない?紹介してよ』
……彼は頭を抱えた。何故なら上記3つの発言はいずれも彼女が恋を失くした際に、呪文のように自分に投げかける言葉だからだ。
七瀬はいわゆる恋愛体質と言われるタイプの人物である。
俗に言う「(彼氏が)切れない」性質だ。
狙っているわけではないが、一見かよわげな女に異性に映ってしまう。これが「守ってあげたい」タイプの男の心にヒットするらしく、数々の恋愛を経験している。
しかし、いつも彼女は振られてしまう。理由は簡単。
七瀬の愛情が重いから、である。