恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第29章 夕暮れネイルに色香のeyes / 🔥✳︎✳︎
「どうした?」
優しい眼差しでこちらを見つめてくれる彼。
「いえ……本当に全く変わらないから、凄いなって」
大きな左手にそっと自分の右手を絡めた後、私はそこにある茜色の指先にゆっくりと口付けを落とした。
「実はな、呼吸を使っている」
「えー…それはずるいですよ…いつからですか?」
「君にネイルを塗ると決めてから」
ああ、もうやられてしまった……。
「こうでもしないと、もちそうになかった」
「え……?」
赤い双眸がグッと近づいたかと思うと、キスが一つ私の唇に届いた。そして左頬をゆっくりと撫でられる。
「いつもかわいい君が綺麗になるのだなと思うと…な」
「綺麗なのはあなたの方ですよ?」
金色に輝く中に緋色が混じる長い髪。上向きになっている個性的な眉、自分より長いまつ毛に、スッと通った鼻筋。いつも優しい口付けをくれる唇。
そして、私の心を常に明るく照らしてくれる朝日の双眸と、真っ直ぐな性格。
「綺麗でカッコよくて、大人な杏寿郎さんが大好きです」
ぎゅう……とまた彼を抱きしめた。
「ずっと側にいて下さい」
「…………」
あれ?返答がない。どうしたんだろう?と思って、彼を見てみたら……。
少し顔を赤くして、口を右手で押さえている。