恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第6章 近くて遠い未来を思う / 🔥
「雷の呼吸」
「弐ノ型 稲魂」
私は稲妻の5連撃を目の前の鬼に放った。
頸と胴体がボロッと灰になっていくのを見ながら日輪刀を一振りする。付着した鬼の血液を飛ばすと、元の鞘にチン……と納めた。
「ふう」
今日は久しぶりの単独任務。一筋縄じゃいかない異能の鬼だったけど、倒せた。
良かった —— と安心していた所に周りの空気が一変する。
とても強い鬼の気配。普段ならすぐ応戦しないといけないのだけど、私はちょっと勝手が違う。
「七瀬」
低くて、艶っぽい声が自分の名前を呼んだ。
「杏寿郎!」
少し離れた所にいる彼に私は走って行き、ぎゅうっと抱きつく。
背が高く、逞しい体が私をしっかりと受け止めてくれた。
鬼である杏寿郎は、私達鬼殺隊の最大の敵。けれども私にとってはとても愛おしく、大事な恋人だ。
「俺が言うのもおかしな話だが、見事な剣技だったぞ。七瀬」
彼が私の頭を優しく撫でてくれる。
「ありがとう。あなたに会いたくて頑張っちゃった」
「嬉しい事を言ってくれるものだ」
私の顎をくいっと掴んで、杏寿郎は柔らかい口付けを1つくれた。