第25章 俺の名前は…… / 🔥
俺は桐谷巧。雷の呼吸を使う鬼殺隊の隊士だ。
階級は甲(きのえ)。先日の任務で討伐した鬼の数が50を超えた。
「そうか!では次回の柱合会議で…」
「はい、鳴柱に就任します」
とある蕎麦屋にて。
対面側に座っている剣士に俺は報告をした。彼の目の前には今しがた食べ終わった蕎麦の器がある。
この人は炎柱の煉獄杏寿郎。鬼殺隊の中でも「最上」に位置する、柱と呼ばれる剣士の内の1人だ。
見た目は派手、声は大きい。そしてどこを見ているのかわからない目線……と一旦見た限りでは気圧されてしまう彼だが、接してみれば非常に感じが良い。
”明朗快活”
そして
“ 海闊天空”(かいかつてんくう ※1)
彼を表す表現は?と誰かに聞かれれば、俺はこう答えると思う。
「明日から少し長くなりそうな任務に行く事になってな。だから今日聞けて良かった!」
「ありがとうございます!…と言うと、あれですか?何人か隊士が行方知れずになっている…」
そうだ、と首を縦に振る炎柱。
「では明日、無限列車に……」
「ああ」
「…………」
「…………」
俺達の間に沈黙が落ちた。
「あの……炎柱…」
「どうした!吉沢くん!」
一瞬だけ思考が停止する。
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※1………
人の気性で心が広々として度量が大きく、何のわだかまりもない