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恋はどこからやって来る?(短編・中編)

第72章 お題夢「冬」+ α / コミュニティ内で募集



そして時を同じく、後宮に戻った壬氏に猫猫は執務室に呼ばれる。

瑞月のいなかった間になにがあったのか、全て口頭で壬氏に伝えた。




猫猫は小さく息を吐いた。

極印文、毒の組成、樹脂の匂い、扇の証。

全てが揃ったゆえの結末。




「……月妃様は、よくもまあここまで先を見てご準備を。」

そう呟くと、壬氏は目を伏せ微笑む。

「用心深い御方だからな。」




その声は、瑞月としても壬氏としても、自然すぎて。

猫猫はそれ以上の疑いを抱かなかった。




「そんな功労者にご褒美を持ってきたわよ。」

壬氏の執務室の前で、扇を開いて覗く月娘。

その後ろには里帰り明けの僑香の姿があった。

手には勿論、猫猫が待っていたご褒美の包みだ。




しかし、それより猫猫は飄々と現れた月娘に怒りの声を浴びせる。




「なに動いているんですか月妃様!!貴方は3日生死を彷徨っていたんですよ!!」




その言葉に壬氏はピクリと眉を動かす。




「………………。」

「………………。」

「壬氏……。」

「何も言うな月娘…。また生死を彷徨いたいか?(寝所でといつめられたいか?)」




さすがに3日生死を彷徨ったことは壬氏に言っていなかった。




「薬屋。早く月妃様を月宮に帰せ。」

いつになく低い不機嫌な声で、壬氏は猫猫に命令する。




「…猫猫。褒美は無しよ。」

「なんでですか月妃様!!私は皇弟殿下には言ってませんよ!!」




そんな裏取引があったとは……。

あとで猫猫もお仕置きだ。



その日、壬氏はいち早く月宮に向かった。




呼吸が凍り、雪が降り積もる。

だが月宮には、凍える闇より強い光と––––。

冬より深い愛があった。






      ー完ー



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