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恋はどこからやって来る?(短編・中編)

第71章 右手に陽光、左手に新月〜水柱ver.〜 / 🌊・🎴




「ありがとうございましたー! またのご利用よろしくお願い致します」

それから五日後、互いの時間が合った二人は質屋から出て来た。七瀬の持参した小袖は十着全て売れたようである。

「良かったあ、全部買い取ってもらえて! まあまあな金額になったから早速使っちゃおうかな。それとも貯めておこうかな。炭治郎ならどうする?」

手にしたお金を財布の中に入れると、衣類を包んでいた風呂敷を受け取る七瀬の瞳はキラキラと光り輝いていた。

「うーん…そうだなあ。貯金して…あ、七瀬! 義勇さんに何か贈り物をするって言うのはどうだ? 俺達これから…いや、もう大分お世話になってるけど…」

よろしくお願いします——そんな意味を込めてみたらどうだろう。
炭治郎がこんな提案をすると、七瀬の瞳がより輝き出す。

「うん、良いね!それ。 じゃあ炭治郎の言う通り、貯金するのと師範に対しての贈り物に分けようかなー何が良いかな」

ふふふと口元に笑みを浮かべながら、思案を始める七瀬だ。
鮭大根は作って褒めてもらった、試験の後、塩大福も三人一緒に結局食べた。

「そうだ!椿油とかどうかな? 村田さんに教えてもらって私も使ってるんだけど…師範の髪って量が結構多いし、しっかりした髪質じゃない?」

洒落た羽織りを着用しているから、髪にも気を配って貰うのも良いのでは。炭治郎は七瀬の提案を聞きながら、胸の奥がツンと痛むのを一人感じていた。

「…良いんじゃないか? 」

「炭治郎がそう言ってくれるなら、決まりかな。良かったらこの後も付き合ってくれる?」

義勇に渡す物を共に買いに行く。口では良いのではと先程伝えた。
本当は彼女一人で店に行って、自分の知らない所で渡してもらいたい。

炭治郎の心の大部分はそのような複雑な気持ちが占めているのだが、まだ七瀬と一緒にいたい。

「もちろん! 義勇さん喜ぶと良いな!」

炭治郎は普段通り、笑顔で返答した。


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