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恋はどこからやって来る?(短編・中編)

第71章 右手に陽光、左手に新月〜水柱ver.〜 / 🌊・🎴





義勇が炭治郎に宣戦布告をした数日後の事だ。
前夜から炭治郎は同期隊士の善逸・伊之助と合同任務に出かけた為、水柱邸にいるのは義勇と七瀬だけだ。


「し…義勇、さん。聞いても良いですか?」

「…?改まってどうした」

二人だけの朝食は初めてではないが、恋仲になって以降は初めてとなる為、七瀬はどことなく緊張していた。

「二人が以前と全然変わらないのが凄いなって思って」

「お前は本当に鈍いんだな」

「確かに私は…そうかもしれませんが」

箸を持っていた手を止め、ため息をつく七瀬である。しかし、彼女から見た炭治郎と義勇は本当に変化がないのだ。

「あれからお前がいない時に炭治郎と地稽古を一度やったが、俺は鬼と打ち合っている感覚になったぞ」

「え? そうなんですか?」

義勇の言う通り、炭治郎は普段の様子に変わりがないが、一対一の闘いとなると胸に秘めている感情を表出させていたと言う。

「炭治郎のヒノカミ神楽は厄介だと思っていたんだが…」

やはり厄介だと義勇は目の前の恋人となった継子を見つめながら実感が湧いていく。

「あ、それ私も感じていたんです。義勇さんと二次試験をする前に、炭治郎に話しましたもん。攻撃主体だから防御する型が多い水の呼吸だと対応するの、ちょっと大変かもねー…って」

七瀬が話している途中で、義勇が彼女の唇を自分のそれで塞いだ。ちう、と音を軽く響かせる物の、触れている時間は思いのほか長い口付けだ。

「お前達、そんな事を話していたのか」

「はい…だって、あの時は絶対炭治郎を義勇さんの継子にしなきゃって…一生懸命考えて…いたから」

「七瀬、俺と二人の時はあいつの名前を出すな」

じっと濃紺の双眸が七瀬の両目を射抜く。静かな性質の義勇だが、瞳の奥には嫉妬の炎が青白く燃えている。

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