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恋はどこからやって来る?(短編・中編)

第71章 右手に陽光、左手に新月〜水柱ver.〜 / 🌊・🎴



「そういえば梅の花って春告草(はるつげぐさ)とも言うらしいぞ。母さんから聞いた事あるんだけど…」

「春を告げる花? 素敵だね! 春の花って言えば桜だけど、昔は梅だったんだっけ。暦が違うんじゃなかった?」

梅が咲く季節は早春である。二月四日が立春の為、暦の上ではこの日から春と言う事になる。


「寒い冬がようやく過ぎて、暖かい春が来たのが待ち遠しかったって事かな。だから咲くやこの花って二回繰り返したのかも…」

「それ凄く良いな! 確かに山の冬の寒さは厳しいから、毎年春になるの楽しみだったな」

もう少し話を続けたかった二人だが、七瀬も任務の時間が迫っており、ここで会話は終わりとなった。


「七瀬、義勇さんが帰って来る日に…」

部屋を退室しようとした矢先に炭治郎がとある提案をして来る。いいね!と快諾した七瀬は明るい気持ちで自室へと向かった。


それから三日後、義勇が無事に帰宅した。着いたのが午前中だった為、少し仮眠を取ったのち、ややぼうっとした様子を見せながらいつも三人で食事をしている和室に義勇がやって来る。


「…帰った」

「お疲れさまでした、義勇さん! また今日も七瀬と作りました」

「師範、ご無事のお戻り良かったです。おかえりなさい。炭治郎が発案してくれたので、作ってみました。塩分が疲れに効くかなと思って…」

義勇が帰宅した際、炭治郎も七瀬もたまたま在宅していたので、また食事を共に作る事が出来た。

三人の目の前にあるのは勿論鮭大根である。


「私鰤大根が好きなんですけど、鮭大根を知ってからこれも好きになってしまいました。美味しいですね!」

にこにこと笑顔を浮かべて水柱に伝える七瀬は、老鴉の寛三郎が義勇の無事を伝えた際、本当に安心していた。


「そうか」

たったこれだけの言葉しか発さない義勇だが、七瀬は【そうか】の後に続くであろう言葉を、少しずつ把握出来るようになって来ている。


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