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恋はどこからやって来る?(短編・中編)

第71章 右手に陽光、左手に新月〜水柱ver.〜 / 🌊・🎴



「…くのいちか、こいつは)」

濃厚の双眸が訝しげに七瀬を見つめた瞬間、彼女の心が予想外に跳ねる。

「(綺麗な顔立ちだよね、この人)」

七瀬と義勇。初めて互いを意識した瞬間———かもしれない。


「炭治郎から聞きました。鮭大根がお好きなんですよね」

「何が言いたいんだ」

——食事をご一緒してもよろしいでしょうか?

「…??」

七瀬の提案に義勇の脳内がたくさんの疑問符で埋めつくされていく。








「お待たせして申し訳ありません、味が染み込むのを待っていたらかなりの時間がかかりました。炭治郎と二人で作ったんです。どうぞ」

「…」

時刻は後十五分程で十二時。
義勇は七瀬と炭治郎がここに来たのが確か十時前だったな、と思い出す。

三人は客間の座卓に向き合っており、義勇の対面側に七瀬と炭治郎が座っている。

「ここまでしなくても食べる事は可能なんですけど、どうせならしっかり味付けした物が良いよねって炭治郎と意見が一致しまして」

「…」

義勇の目の前にはこっくりした茶色に染まった半月状の大根に、ほろっと柔らかくなった鮭の身が乗っている皿。

その他に雑穀飯、豆腐とわかめの味噌汁、いんげんのごまあえ——— が共に置いてある。

美味そうだ。

己の直感がそう告げていた。
彼の食欲を更にそそらせているのが生姜の香りだ。

「食後の甘味に塩大福も買って来ました! 義勇さんは食べた事ありますか? これ凄く人気の品でなかなか買えないんですけど…」

「一度食べた事がある」


義勇の食欲は限界であった。
何故なら目の前に自分の好物が二つもある為だ。

いただきます、と静かに言った水柱は箸をゆっくりと持ち、鮭大根と共に並べられているわかめと豆腐の味噌汁が入った腕を手に持った。

義勇が食事に手をつけると、七瀬と炭治郎も互いに「いただきます」と言い合い、昼食を食べ始める。



「…」

「(あれ? 義勇さん、何も言わないな)」

「(どう言う事なんだろう。美味しくないのかな)」

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