第4章 不協和音の奥に眠る愛
それから、家の事についての話や、鬼殺隊、鬼の話も2,3話して、美玲は来るときに案内した”ひまり”という少女に案内されて部屋を後にした。
藤が彩る庭園の奥、
休憩所のようなところで師範二人が言葉も交わさず、長椅子に腰かけている姿が見える。
「道中、お気をつけてお帰り下さいまし。」
「はい。有難うございました。」
ひまりは笑顔で深くお辞儀をして来た道を帰っていった。
その声に気づいた二人は振り向き立ち上がった。
「お待ちいただきまして有難うございます。」
「早かったですね。参りましょうか。」
縁壱は何を話したかを問うことはなく、穏やかに笑みを浮かべたまま美玲を迎えた。
「あの………、大変不躾ではございますが、先ほどは巌勝師範の全集中の呼吸を観察させていただいておりました。
瞑想よりも肺の使い方が深く特殊なものだと解ったのです。
呼吸は人それぞれ違うと聞かせていただきました。
あの、弟子からのお願いなのですが、勉強させていただきたく、今度は縁壱師範に送っていただきたいのですが……。」
美玲は、恥じらうというよりは、下っ端の頼みごととして申し訳なさそうに二人に頼んだ。
その頼みを聞いて二人は驚いて目を見開く。
縁壱の方は何かを探るようにじっと美玲を見つめる。
「大人しく真剣な雰囲気を漂わせておることは解ってはいたが、まさか、観察しているとは……」
巌勝の方は、少し呆れたように呟いた。
「美玲殿は、臓器や、筋肉など透けて見えてるのですか?」
「そんなこと出来ないですよ?ただ、人一倍肌や心で何かを感じるのが得意なだけです。」
そう答えると、
「美玲殿は面白い方ですね……。解りました。お連れいたしましょう。
それと、私と兄上は、意識すると人のからだの内部が透き通って見る事が出来るのです。
是非、あなたにも習得していただきたい。」
と了承して、少し笑んだように頬を緩ませた。
「そんなことが出来るのですね!是非ともご教授ください。」
美玲は、二人に向けて、楽しみだと言わんばかりの笑みを見せて頼むと、
二人とも目を細めて頷いた。