第4章 不協和音の奥に眠る愛
あれから1週間は怒涛の日々だった。
3人の死に家族の全員が藻抜けの殻のようになってしまった。
亡くなった次の日は門下生が雪崩れ込みそれぞれが父を悼んだ。門下生や城に3人の死の真相を話さねばならなかった。
全ての家に起きたことの事後処理を父の友人や使用人から手伝って貰いつつも、主要なところは美玲が一人で裁いていった。
美玲の姿を見て孝太郎と誠太郎が、家族の心を励まし、使用人について回っては手伝いを願い出るようになり、そこから母も少しずつ手伝うようになってくる。
葬式が出来たのは5日後の事。
その時に妹が家族を連れて帰ってきた。
美玲は口も聞いて貰えず心が痛む。
なぜかその時に、どこから聞いたのか継国巌勝も一人喪服姿で有栖川邸にやってきた。
「……弟子にすると認めた者の家族の葬儀だ。……当然の事だ。」
と。
無愛想なのにそういうことに気が回るのだととてもありがたかった。
まだ、バタバタ過ぎて家族にも話せていなかったので家族は驚いてもいたが………。
美玲が正式に家族に最初に話を切り出したのは初七日の法要が終わった後だった。
四十九日法要までいるという妹と
生き残った明海と幸伸の3人の子ども達、そして使用人も応接間に呼んで、鬼狩りになる事を告げる。
「父、景勝が遺言として"皆幸せであるように"とわたしたちへ残されました。
そして、父は助けに駆けつけてくださった鬼狩り様に対して、わたしに"人を守る最高の剣技"を教えるよう頼み、鬼狩り様はそれを受け入れてくださった。」
「わたしは父・景勝、兄・幸伸、咲枝さん、3人の家族を亡くし、鬼というものを滅せねばならぬと、仇をとりたいと思うております。
わたしは鬼狩りに、身を置く所存でございます。」
美玲は一人一人の目を見つめて話した。
手つき、深く頭を垂れる。
「父上の仰るであろう言葉とは思うておりまする。
嫁いでいったものが申す事ではないでしょうがひとつお聞かせ願えませぬか?
この家は、父が家督を姉上に譲ると言いました。跡継ぎがいない以上、この家を空けるわけにはいかないので御座いましょう。
その辺はどうされるおつもりで?」
妹の桜が尋ねた。
その口調は鋭くとがっていた。