第1章 桜ひらり
私の名は蓮。唯一生き残った紅鬼の一族である。
この事を知っているのはこの日の本の鬼の中でも私だけだ。
おそらく、風間も千姫も私のことなどとっくに忘れているだろう。
そして、私は一人京の都に向かっていた。何故かは自分でもわからない。何かに引き寄せられるように都の方角に歩いていた。
蓮「此処が…。」
沢山の道行く人々は活気に溢れていた。
蓮「宿を探すか……。」
そう言って私は宿を探し始めたのだが、こんな広い都で宿がわかるわけもなく、いつの間にか一人座り込んでいた。
蓮「駄目だ、足が疲れた。」
はっきりとした目的意識がなかった私はぼーっとしながら座っていた。
すると…。
男の子1「あれ、お姉さんどうかしたの?」
女の子1「大丈夫?」
子供が声をかけてきた。
蓮「大丈夫。心配しないで。」
私は一言笑顔でそういった。
そして、その後ろには…
?「そこの君、本当に大丈夫?」
美しい瞳で私を見つめる男性がいた。