第4章 初めてのキスはレモン味 伊黒小芭内
「ありがとう。俺も、好きだよ」
お互いに見つめ合うと、どちらからともなくキスをした。
「ふふっ」
突然月城が静かに笑い出す。
「レモンの味がする」
「………バレたか」
手軽な糖分摂取と言っていたレモンの飴。
どうも最近は口が寂しくなるとつい口に放り込んでしまう。
「嫌だった?」
「ううん………好き」
今度は離れないように、抱きしめ合いながらもう一度キスをした。
君を大切にする
誰よりも幸せにする
そのキスに誓いを込めて
「その飴いつもどこで買ってるの?」
「会社の近くのコンビニに売ってるが」
「え、そうなの?知らなかった」
「そういえば最近新しい味が出ていたな」
「何味?」
「柚レモン」
「それ、一緒に買いに行かない?」
「じゃあ、今日の帰りに一緒に行こう」
「うん!あ、次キスしたら、柚の味かな」
「あぁ、…それもいいな」
fin.