第3章 君の笑顔が好きだから 煉獄杏寿郎
「あれ⁈ 紗夜さん!おかえりなさい!…あ!その仔猫!」
「ただいま千寿郎くん!木の上で震えていたからお助けしたよ」
「わぁ、ありがとうございます!良かったぁ!お預かりしてる仔猫なんです」
紗夜が抱いている子猫を千寿郎が覗き込むと、仔猫は「みゃー」と一鳴きした。
「紗夜、おかえり。コホン、あ〜……杏寿郎、そろそろ紗夜を降ろしたらどうだ?それから紗夜は裾を直した方がいい」
「はい!今降ろします!」
「はっ!すみません!」
千寿郎は気にしていないようだったが、父上が言いたかったのは、さっき受け止めた勢いか何かで裾が捲れてしまったのか、紗夜の生脚が太腿までしっかり見えてしまっていた事だろう。
綺麗な太腿が眼前に晒されて、大人の男には少々刺激が強い。
俺は紗夜を降ろし、紗夜は片手で仔猫を抱いたまま、器用に裾を直した。
降ろしたことで、さっきまで腕の中にあった紗夜の温もりが無くなり、少し寂しくなる。
「紗夜、仔猫を見つけてくれたんだな。ありがとう。明日の夕方まで預かる事になってな。ところでお前は猫の世話は出来るか?」
「はい、昔野良猫が家に迷い込んできたことがあるので、世話はした事はあります」
「そうか、なら明日の夕方までその仔猫の世話を頼みたい。なんせここの男3人全員ど素人なものでな」
「ふふっ、かしこまりました。お任せください。あ、でも私明日任務が…」
「それなら明日は非番にしてもらえるようお館様に頼んでおく。杏寿郎、お前は明日の予定はどうだ」
「俺は今から任務ですが、明日は非番です!」
「分かった。では紗夜、よろしく頼む。杏寿郎と千寿郎も手伝ってやれ」
「「はい!」」
こうして仔猫大捜索は無事終了した。
父上は紗夜と俺達に猫の世話をする様にと仰ったが、俺が任務に出掛けた後、ガッツリ猫と遊んでいたと紗夜から聞いた。
父上が猫と遊んでいるなんて…俺も見てみたかったぞ!