第9章 あなたの愛に包まれて*後編 上* 宇髄天元
「それに、この話した時葉月ちゃんはノリノリだったしな。気にしなくても全然問題ねぇよ」
不死川さんはどうだったのか、気になるところですが…
「そうなんですか。奏真も人に預けるなんて初めてだったんですけど…意外とすんなりでした」
もっと渋るかと思ったけど、案外平気みたいで拍子抜けしてしまった。
挙げ句の果てには…
『ママあそんでおいでー!』
まで言われてしまい、心なしかちょっと淋しい?
でも後ろ髪引かれずに済んだのだから、気持ちは楽な方だ。
「今日はなーんも気にせず思いっきり楽しめ。な?」
何にも気にせず、思いっきり…
なんでだろ、不思議だな。
背中に羽が生えたみたいに軽くなって、どこまでも行けちゃいそう。
「ふふっ、はい!」
元気よく返事をした私に、宇髄さんもにっこり微笑んだ。
ところで、さっきからずーっと気になってたこと。
「宇髄さん」
「ん?」
「どこに、向かってます?」
「おー、街中だなぁ」
「へぇー、今日何かイベントとかやってるんですか?」
「イベントっつぅか…」
そこでピタッと足を止めた宇髄さん。
私も倣って足を止めると、ニッと笑ってとんでもない爆弾発言を言い放った。
「俺、今日誕生日なんだわ」
・・・。
「ええーーーーー!!」