第2章 幸せのカタチ 不死川実弥
「俺は自分の仕事をしただけです。それで月城さんの命が救えた事は本当に良かったと思っています」
「ええ、本当に。有難うございます。今日はお代は頂きませんので…」
「いえ!そういうわけには……」
俺は慌てて断るが、女将さんに押し切られる。
「どうか、おもてなしさせて下さい。奥のお二人も、同じ…鬼狩り様なのですよね?お二方の分も今日はお代は結構ですので。ゆっくりしていって下さいね」
「えぇえ!そんな、私達の分までなんて悪いです!私、沢山食べちゃうし……」
「いいえ、いいんですよ。いつも美味しそうに沢山食べてくださるのでとっても嬉しいわ。遠慮なく食べていって下さいね。紗夜、あとはお願いね」
「はい」
「失礼致しました」と言って女将さんは下がって行った。
「女将さんに奢られちまったなァ」
「本当は私がそうしようと思ってたんですけどね」
「しなくていいっつったろがァ」
「それはそうなんですけど…。皆さんご注文は大丈夫ですか?」
「緑茶を、頼めるか?」
「俺も緑茶頼むわァ」
「私桜餅を……2皿お願いします」
「2皿だけでいいんですか⁈」
「え?」「は?」「あァ?」
オイどうした?
客の注文に店員が文句を言うっつーあり得ねェ状況になってんぞォ……。
「は!すみません!いつも沢山食べていかれるので2つでいいのかなって思って……」
「気を使わせちゃったわね!ごめんなさい!本当は食べたいのだけれど、遠慮してしまって……」
「女将さんは沢山食べてくれる人好きなので、遠慮せずに食べて下さい!その方が喜びます!」
「そうなのね。じゃあ…桜餅を5皿下さい!」
「はい、かしこまりました!少々お待ちくださいね」
月城は、受けた注文を伝える為奥の厨房へ入って行った。