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君と紡ぐ恋物語【鬼滅の刃】

第6章 あなたの愛に包まれて*前編* 宇髄天元


その日は日曜日だったから、彼も仕事が休みで、お家でお祝いしようねって話してた。

私は朝から張り切って、奏真の好きなもの作ったり、部屋の飾り付けしたりして、頑張ってた。

私が準備をしている間、彼は部屋からなかなか出て来なくて、ちょっと変だなって思ったけれど、前の日の仕事が遅かったから、まだ寝てるんだと思って、そっとしておいた。

奏真にお昼ご飯を食べさせてからお昼寝の寝かし付けが終わった頃、やっと彼が部屋から出て来た。

荷物を纏めて。


『ごめん』


最後にそれだけ言い残して、
寝ている奏真の顔も見ずに出て行った。


あまりにも突然過ぎて、涙すら出なかった。

自分の子供の誕生日だよ。

なんで…今日なの?

そればかり頭の中をぐるぐる回ってどうしようもなかった。


暫くしたら奏真がお昼寝から起きて来て、もういないパパを探し始めた。
お仕事に行ったよって誤魔化した。

朝から準備していたけれど、もうそんな気になれなかった。
パパのいない誕生日なんて、可哀想だと思ったから。

作った物は全部捨てた。
彼の好物だった唐揚げも全部…


『奏真、ママと美味しいもの食べに行こうか!』
『?うん!』


2人で来たファミレス。
確か、あの時もここだった気がする。

お子様ランチを一つ注文して、2人で分けて食べた。
その時は、新幹線じゃなくて、クマさんの形のプレートだった。


夕方の時間帯。
周りは親子連れで溢れていた。
家族みんなで笑い合う姿が、今の私に突き刺さる。

気を紛らわせる為に出て来たけど、家の方が良かったのかも…
そんな風に思った。


こんな誕生日にしちゃってごめんね。

まだ小さいから、きっと今日の事は覚えていないんだろうなと思う。

でもごめんね。
パパのいない誕生日にしてしまって。
人生で1回しかない3歳の誕生日をこんな風にしてしまって。

ずっと、心の中でごめんねって言いながら、お子様ランチを食べた。


デザートに、ケーキを食べようと思ったけど、奏真がニコニコしながらメニューのパフェを指差したから、いちごパフェを頼んだ。

2人で半分こして、仲良く食べた。


あの時食べたパフェは、味がしなかった。


きっとその時の私は、味を感じる余裕すら、残ってなかったんだ…






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