第5章 守りたいもの 錆兎
「錆兎ってば紗夜の事大好き過ぎだよ。全然離さないもん」
「長い間ずっと想ってたんだ。許してやれ」
「そうだね。ふふ、紗夜嬉しそう。なんかこっちまで嬉しくなっちゃうよ」
「あぁ、俺も嬉しい」
ずっと側で見守ってきた真菰と義勇は、やっと結ばれた二人の様子に、自分の事のように嬉しくなった。
「…そろそろ離すか、隣の村田が気の毒になってきた」
「あ〜、それもそうだねぇ」
目の前で二人の抱擁を見せ付けられている村田の顔は、茹蛸の様に真っ赤だった。
「ねぇ、義勇」
「ん?」
「今度さぁ、鱗滝さんに会いに行こうよ。皆で」
「そうだな、行こう。皆一緒に」
「楽しみだな〜、そうだ義勇!鱗滝さんにお手紙出そうよ!義勇書いてね!」
「俺が書くのか。なんて書けばいいんだ?」
「うーん、そうだな〜…」
鱗滝左近次様
お元気ですか?
此方は四人皆元気で過ごしております。
先日、俺達にとって
嬉しい出来事がありました。
鱗滝さんにも是非お伝えしたく、
近い内に其方、
狭霧山へ皆で一度帰ろうと思います。
内容はその時に
お話するつもりでおりますので、
楽しみにしていて下さい。
きっと、
鱗滝さんにとっても嬉しい事だと思います。
鱗滝さんの好物を手土産に持って行きます。
皆、鱗滝さんに会えるのを
楽しみにしております。
ご自愛専一にて精励くださいますよう
お願い申し上げます。
冨岡義勇
fin.