第3章 魔法使いの肖像画家
「ありがとうございます」
正直助かった。この所、屋敷から出る度に魔法の気配を感じたし、ラークの話を聞いて、自分がどれだけ危険な魔法使いに目を付けられているか、察しがついた。
「それじゃあ、週末に会いましょう」
ラークは、スッと立ち上がり、雲雀の様に一直線に部屋を横切ると、難解な呪文を幾つか使って姿を消した。
私は紅茶のカップを手に取り、思わず顔を顰めた。
「温め過ぎよ。煮詰まっちゃうじゃない。言う事を利かないなら、買い換えるわよ!」
しばらくすると、お茶は嫌がらせの様にひんやりと冷たくなってしまった。