第2章 新生活
ピピピピピーカチャ
『…んぅ、、、』
耳障りなアラームを片手で切って時計を見ると、その文字盤は5時半を指していた。
土曜なのに何故こんな時間にセットしたのだろう。
二度寝を決め込み、寝返りを打つとなんだか動きにくい。
『うわ…』
そこでようやく自分が何を着て寝ていたか理解した。
昨日の服のまま、風呂にも入らずに眠ってしまったようだ。
私は二度寝は諦め、まだほとんど働いていない頭を抱えてシャワーを浴びる。
『…』
…そういえば、昨日変な人が家に居たような、、、
蛇口をキュッと締め、脱衣所で髪を拭きながら曖昧な記憶を引き出す。
…昨日は随分と疲れていたし、もしかしたら夢だったのかもしれない。
そんなことを考えながら、リビングの扉を開けた。
「…随分と早いな。
おはようさん。」
『…』
夢じゃなかった。
冴えてきた頭は昨日の出来事を容易に思い出す。
昨日は私が限界で勝手に話を切り上げて寝てしまったんだった。
と、マルコさんも昨日の服のままであることに気がつく。
『…おはよう、ございます、、、
シャワー、浴びます?』
自分だけすっきりしたのがなんだか忍びなくて、そう声をかける。
「いいのか?」
『はい…あ、着替えは兄のもので良ければ貸せますが、、、』
「じゃあ、頼もうかねぃ…」
私はもう何ヶ月も入っていなかった兄の部屋を訪れると、タンスを開け、大きめの洋服を探す。
兄もそれなりに背は高い方だったのだが、マルコさんが高すぎてどれも合いそうにない。
上はどうにかなりそうだが、下は無理そうなので長ズボンは諦めて、元々七分のズボンをハーフパンツのようにしてはいてもらうことにした。