第2章 本丸
「今日も天気がよいな。」
執務をしている私の少し先で、
暖かな日が差し込む縁側に目を向けて
呑気にお茶を飲んでいる三日月
桜も散って日中は日差しが強くなってきたが
外から吹き込む風は心地よい
ふと時計を見ると、針は昼前を指している
「よし…。とりあえずここまでにしよう。」
書類の山の頂に、先程まで書いていた書類を置く
「どれ、茶でも入れてやろう。」
「ありがとう三日月、お願いするよ。」
執務机から立ち上がり、三日月の元へ移動する
急須から注がれるお茶からはとてもよい香りがした
三日月から湯呑を受け取ると、暖かいお茶を1口飲む
「ふぅ。働いたあとの1杯は美味しいね!」
うむ、と目を細めて三日月は頷いた
「主はここ最近、執務室に篭っていたからな。
茶を飲んで少し休むといい。」
「休憩も大事だね。あ!三日月、傷はもう平気なの?」
「なに、このくらい大したことは無い。」
先日の任務中、時間遡行軍の攻撃から町民を庇った事により負傷した三日月
手入れ中かと思っていたら執務室へ現れた為、現在に至る
「無理はしないでね。私の大切な仲間だから。
でも、来てくれてありがとう。」
「働き者の主をこうして労うのも、我々の務めよ。」
はっはっはと目を細めて笑う三日月
よかった、元気そうだ
私は湯呑に入った残りのお茶をぐいっと飲み干した