第5章 Lonesomeー寂しさー
ー悟 視点ー
報告書仕上げてから急いで合流してみれば唯が呪霊を祓うところだったけど…
そんな術式見た事ない。え?聞いてないけど?
俺が知らなかったやつをこいつらに見せたの?
何か無性にイライラすんだけどと高専に戻さずに残して問い詰めた。
唯の術式が上手くいってないのは母親から聞いていた。
制御も出来ないほど強力らしい。
どのくらいなのかっていうのも見たかったし、最強の俺が手伝ってやるんだから使いこなせるようにしてやりたかった。
ー…そんな考えは術式発動後に吹っ飛んでしまった。
“星月操術ー胡蝶之夢ー”
領域展開でもしたのかというほどの呪力と変わった景色。
そしてその中心にはー…
妖艶な赤い瞳をし背中から漆黒の蝶の羽を生やしている唯の姿。
驚いていれば急にクラクラする感覚がして慌てて足に力を込める。
「これはもしかして…フェロモン的なやつ…?唯!唯!…声は届かないか…。しっかしこれは流石に長い事くらったらヤバいな…」
可哀想だとは思いつつ素早く近づき首筋に“トンッ”と手刀を繰り出しそのまま気絶させた。
意識を手放すと同時に背中の羽も消えてった。