第4章 Middle Of Nowhereー何も無い場所ー
先程呪霊を祓った建物の中へと入る。
帳はないものの薄暗くて気味が悪いなと思ってたら前を歩いていたお兄ちゃんが立ち止まりあたしの方を向いた。
「お前さぁ…さっきの術式なんだよ」
「さっきのって星月操術の事?何か下手くそだった?」
「“黒蝶”は知ってる。でも“花蝶風月”なんて俺知らなかったけど?しかも鍵を使って星月操術出来るようになったとか聞いてねーし」
「使えるようになったのはここ最近だよ!今日も出来るか不安だったもん。鍵の事はお盆中にお兄ちゃん帰ってこなかったし、術式の事話す機会なんてなかったじゃん!」
まだ納得しないようなお兄ちゃんの顔。
そんな顔されても困るんだけど…。
「ちなみに他に使えるようになったものは?それか練習してるやつとか」
そう言われて一瞬戸惑う。
凄く強いのを練習はしてるんだけど成功した事はない。
しかも破壊力がヤバい。
更に必ず意識を失ってしまい周りに迷惑をかけていた。
お兄ちゃんはそれを知っていたのか少し微笑んで言った。
「失敗してて手こずってるんだろ?最強が見ててやるから使ってみろよ」
「え…でも…」
「もしもの時は抑えるから安心しろって」
お母様にでも話を聞いていたのかな?
確かにお兄ちゃんなら何かあった時抑えられるかも。
「じゃあ…やってみる。もしもの時はホントお願いね」
お兄ちゃんが頷くのを見て鍵を取り出す。
呪霊も何もいない空間へ向けて唱えた。
「星月操術ー胡蝶之夢ー」