第3章 Sister ー大切ー
あれからかなりの年月が過ぎた。
俺は15歳、唯は13歳になった。
あの後唯はすぐに五条家の養子になった。
五条唯はその後の集まりで公の場に紹介された。
三歳まで何故隠していたのか聞かれることも多かったみたいだが、身体が弱く外には出さなかったという事で当主が説明をして納得されたようだった。
「悟お兄ちゃん?今いーい?」
俺の部屋の扉がノックされ唯の声が聞こえた。
「ん?どーぞ」
俺の返事を聞くと唯が教科書を持ってやってきた。
「今日やった問題難しくて…少し教えて貰ってもいい?」
「また勉強かよ…(笑)唯も後々は高専行って呪術師になるんだろ?勉強なんて程々でいーんだって(笑)」
寝そべってやる気なく答えると唯はムスッとしていた。
「…そりゃあ呪術師にはなるよ。なりたいし。でもせっかく学校に通わせてもらってるんだから教養としてしっかり身につけておきたいのっ!」
「真面目な奴だなぁ…。どの問題?」
体を起こして聞くとたちまち笑顔になって嬉しそうにしてくる。
唯の笑顔を見るのが好きだから意地悪言いつつも何だかんだ言う事聞いてしまってる…気がする。
解き方の説明をするとそれをノートに細かく書きながらうんうんと返事をする。
書き終わった唯は“出来たー!!”と満足気に答えながら顔を上げて笑う。
そして少し寂しそうに一言呟いた。
「はぁ…もう少しでお兄ちゃんに勉強を教えてもらうのも最後になっちゃうね…」