第2章 Determination ー決意ー
あの凄惨な事故から1ヶ月が経った。
色んな事が一度にありすぎて疲れた1ヶ月だった。
俺もだけど唯もうちの人間もだと思う。
色んな事を考えながら俺はあの現場に花を供えた。
ー唯の事は心配しないで天国へいけよー
あの事故は飲酒運転による暴走事故だった。
運転手、通行人、アパートの住民ー…澪も亡くなっていた。
負傷者もたくさんいた。
あの日唯は澪からお使いを頼まれていた。
この手紙をポストに入れてきてー…と。
アパートの数軒隣にあるコンビニのポストへ手紙を投函しに行っていた。
投函しに行ったがポストが高くて届かず必死で背伸びをしていたところを店員の女性が発見。
抱っこして手を伸ばしカタンと手紙がポストの中に落ちた途端の出来事だったそうだ。
その店員さんが走り出そうとした唯を危ないからとその場に留めていてくれた。
暫くして俺が見えたから走ってきたと。
その後は泣きじゃくる唯を連れて俺の家へ帰った。
家で事情を説明し、しばらくはうちに居れるようになった。
どうせ部屋は空いてるし。
後のことは後で考えりゃいい。
とりあえず唯の居場所が出来て良かった。
母親、家、物全てを失ってこれからの居場所も無いなんてそれこそ絶望だろ。
泣き疲れて眠った唯を見ながら俺も横になる。
澪のお使いによって唯は生かされたんだな。
でなければ二人一緒に亡くなっていただろう。
出来れば澪も無事でいて欲しかった。
頬に一筋涙が流れた。