【鬼滅の刃】after story【闇を照らして】
第1章 闇を照らして 祝言
し「まさかとは思いますが...やや子が?」
蜜「えぇ!!それは大丈夫なの!!?」
バン!と机を叩いて立ち上がった蜜璃と同時に、月奈は口に含んでいたお茶を噴き出した。物音に驚いた店員が厨房から走り寄ってくる。
店「だ、大丈夫ですか?」
「ゴホッ...す、すみません。ありがとうございます」
店員が差し出した布巾を受け取り机を拭きだした月奈の顔は真っ赤になっていた。むせたことが原因なのかはたまたしのぶの発言が原因か...。
し「あらあら、月奈ったら困った子ですね」
(しのぶさんのせいじゃないの!!)
蜜「あのぉ〜、とにかく外に出ましょうか?」
そう言った蜜璃が指し示した先、店内を見回すと店員含め周囲の客の注目を一手に集めていることに気付く。今度は一瞬で青くなった月奈は慌ててお金を支払うと二人の手を掴んでお店を飛び出したのだった。
煉「月奈!?」
「ひぇぇっ!!」
煉「む!!?」
店を飛び出して街中を走り抜けた所で肩を叩かれた月奈は思わず叫び声を上げてしまい、声をかけた主も驚いたのか背後から声が上がった。
「杏寿郎様!?す、すみません!」
振り返った月奈の顔が真っ赤なことに杏寿郎は少し眉を顰め、両脇の同僚二人に視線を巡らせる。視線を向けられたしのぶと蜜璃はそれぞれ反対方向に視線を逸らした、それはつまり月奈の様子の原因を知っているということになる。
煉「月奈、二人に伝えることは伝えたのか?」
「い、いえ...それがまだでして」
それどころではない爆弾発言に、アタフタして結局呼び出した理由を話せないまま甘味処を飛び出してしまった。勿論そんな事言えるはずもなく、はははと笑って誤魔化した。
(なーんて、誤魔化せるはずも無いわよね。運が悪かったのは三人のうち誰かしら)
結局飛び出した甘味処に戻る事も出来ず、かと言って立ち話ではおかしい内容だということで煉獄家へと問答無用で連行される運びとなった三人は大人しく従う他無かった。
煉「さて、どこまで話しをしたんだ?」
居間に入るなり、杏寿郎が問うのは未だに視線が合うと顔を赤くして俯く月奈だ。文で事前におおまかな内容を伝えていることは知っている、そこからどれだけ話しをしたのかを知りたいのだか。