第7章 冷たい宅配便/小さな科学者と
待っていたケーキを自ら迎えに来ていたとは思いもしなかった
「私は博士がすぐに気付くと思えないけど?」
「大丈夫さ、届ける先は博士じゃねーしな!」
博士宛で博士宛じゃないとは…?
コナンが伝票の一番下の紙を抜き、上から何かを書き足している
1つはボールペンで阿笠博士様の前に「工藤様方」
もう1つは綿棒の綿を取って書いているが、文字は出ていない
これは2枚目の受領書の部分にメッセージが出るようにしているな…
「工藤様方って…沖矢さんの住んでる方に届くようにしたってこと?」
「あぁ。そんな宛名を書けるのはこの世でオレくらいだろ?」
書体や文字の色をよく見れば後で書き出された宛名だって事がわかる
それができるのは配達中の宅配業者のトラックの荷台の中だってことも、沖矢さんならすぐ気付くとコナンは自信満々に言う
いったい沖矢さんは何者なんだ…それにコナンとの関係性もまだわからない…ただの大学院生ではないことは薄々感じてるんだけど…
そしてケーキの入った荷物は荷台から出ていき、その間もひっそりと身を隠した
「今頃あの2人、昴の兄ちゃんにやられちまってるのか?」
「いや、多分昴さんなら…」
ガバッと再び扉が開いた
「さっきの受取人に集荷を頼まれちまって…小さい荷物だし構わないだろ?」
2人組が沖矢さんから頼まれたであろう荷物を荷台に置き、扉を閉めた
すぐにコナンは置かれた荷物を取りに行き、勢い良く包みを破る
中に入っていたのは、1台のスマホ
「なるほど、この状況なら一番頼りになるな…」
「あぁ!安全かつ確実に奴らを捕まえるには、直接俺から警察に伝えた方が…」
パッ━━
「そんな事させるかよ」
しまった…!!
救世主の出現で完全に油断していたところを2人組に扉を開けられ見つかってしまう
オレとコナンでみんなを守るように最前に立ち、相手に睨みを効かせた
「荷物の配置が妙に変わってたから覗いてみたら、あの猫の他に泥棒猫が6匹も忍び込んでいたとはな」
完全に終わった訳では無い
様子を伺って、策を練る…
「携帯取り上げたらこのままここに閉じ込めて凍死させてやる…オッサンの死体のそばに並べとけば迷宮入りの難事件になるだろーよ!」
相手が荷台に登ろうと足を掛けた
来る…!そう思った時、
パッパァ━━!!
外から聞き慣れたクラクションが聞こえた