第5章 赤に揺れる/小さくなったその後
零と再び2人きりになった病室で、“ 愛されてる ”か…なんて先程の言葉を思い返していると、少し強めに頭を撫でられた
いや、撫でられたと言うよりもそれはもうワシャワシャと乱される
「何っ!?」
「……消毒」
ベタベタされた訳じゃないし、相手はライで諸星さんなのに消毒って…と苦笑い
あいつだから問題なんだと零は言うけれど、そんなに警戒しなくても大丈夫なのに
「ところでさっきは黙っていたが、組織の捜査、続行する気なのか?」
「うん」
心配だと言わんばかりの零の顔
逆の立場だったらって思うと気持ちはわかるけど、零だって逆だったら動こうとするでしょ?
「上にはその旨言ってみるが、正直どうなるか…」
「わかってる。でも、例え警察を辞めることになってももう零から離れたくない…これからも一緒にいられるようにして…」
「それはもちろん、言われなくてもそのつもりさ」
乱れた髪を整えてくれて、おでこに優しくキスを落としてくれたのが心地よかった…
***
………夢…?
ゆっくり目を開くとそこは工藤邸の応接室で、頭を乗せていたはずの沖矢さんの膝はクッションに変わっていて、ブランケットも掛けてくれていた
そういえば目の隈が酷いからってマッサージしてくれてたんだっけ
赤井のことを考えてたらいつの間にか寝ちゃって、だからあの日の夜の夢を見たのかな…
あれから日が昇って諸星さんと上司のジェイムズさん、零の上司が来た時にはオレは検査中で、病室に戻った頃には話が終わり、FBIは帰っていた
話の詳細は細かく教えてもらえなかったけど、星影叶音という存在をFBIに置いてもらえることになり、子どもの姿のオレの戸籍も用意してくれて、FBIから公安へ特別捜査官として存在させ公安内で仕事を続行できるようになった
何故そこまでしてもらえたのかを零に聞いたら、どうやらオレのこの幼児化という現象が世界にとって大きな事柄になってしまうからと、どこかで漏洩しないよう密かに今この状況を知るFBIと公安の管理下だけに置きたいということだ
良い言い方をすれば保護、悪い言い方をすれば、オレは2国の警察から監視されてるってわけで…
幸いにもその監視役を零がすることになり、どこかに閉じ込められるような生活は送らずに済んだ
ただ、何をするにも零やそのまた上司の許可が必要で行動制限されてるけどね