第4章 夜想曲/ポアロの彼と名探偵と
路地を出発した車は二車線の大通りに出る
コナンは銃口を頭に当てられたままだし、オレも下手に手が出せないとなると零が頼みの綱だが、メールをした場所からだいぶ移動をしてしまっている
車の特徴を伝えてあるがそれに気付くか否か定かではない
それに路地からずっとこの車に張り付いてる後ろの赤い妙な車も気になるところだが…まさか手川の別の仲間ではないよな…
思考を巡らせていると、突然後方から大きなドリフトの音が聞こえた
思わず後ろを見ると、そこにはよく知っているRX-7が猛スピードで追いかけてくる
零が気付いてくれた…!
でもどうやって止める気だ?
信号で?それとも目的地まで並走?
するとRX-7がオレの乗っている車を追い越していく
一瞬見えたのは零が蘭さんを運転席側に寄せている状態の車内
……いや、止めるのは今だ!
「お姉さんブレーキ!!!」
「えっ!?」
キィィィーっとブレーキ音と一緒に再びRX-7のドリフトの音が響き、車同士がぶつかる衝撃と共に止まった
運転席ではエアバッグが飛び出し、芹奈さんは気を失っているのか動かない
手川はコナンに銃を突きつけたまま車を降りて行った
「な、何なのよあんたら!?」
手川の叫びと同時に車の屋根に何かが乗った音がした
急いで車を降りるとバイクが降ってきて、気付けばそこには気絶した手川とバイク女子にスリスリされているコナンの姿
そして蘭さんと毛利先生もすぐに駆け付けてくれた
「リュウ」
警察に連絡をしたのか、電話を終えた零が来てくれて、目の前にしゃがんだ
「無事で良かった」
そう言いながら頭を撫でてくれたのは嬉しいんだけど…
「ちょっとこれはやりすぎ……オレ軽くむちうちだし、RXもへこんだ…」
「あー…」
大目に見てくれると…って言うけど、ダメです、これは事故です、と言うと、突然膝をついた零に抱き寄せられる
「突然いなくなって驚いた」
「…うん」
「電話口に銃声が聞こえたから心配で」
「うん」
「でも、咄嗟のブレーキ、いい判断だったよ」
「うん…」
「大目に見てくれる?」
「………うん、とは言わないよ?」
零の肩を押してお互いニコニコと笑顔を送り合っていると、遠くからこちらに向かっているであろうパトカーのサイレンが聞こえた