第13章 ハロウィンの花嫁
カチャ…と拳銃を構えた零
オレも松田もそれまでは携帯してしておらず、常に所持している公安に職務の違いを感じた
「俺がノブを回すから蹴り開けてくれ」
ドアノブ側に松田が着き、オレはその後ろに一歩下がり身構えた
零は拳銃を構えながら正面に立って深呼吸をする
3人で視線を合わせ頷いて合図を送ると、松田は静かにドアノブを回した
バンッ…!!
ロックが外されたドアを零が蹴る
それと同時に松田が手離せば、ドアは勢いよく向こう側へと開いた
零はドアの向こうに現れたフードを被った人物に「動くな」と銃を構え様子を伺う
奥の部屋は然程広くはなく、薄暗く怪しげな雰囲気が漂っていた
狭い部屋にも関わらず棚がいくつか置かれていて、工具などがたくさん並べられている
奥の作業台には2つの透明なタンクが並べられていて、各々ピンクと水色の液体がたっぷり入っている
タンクから伸びるパイプが真ん中で繋がっているのは、きっと2種類の液体を混ぜる為だろう
フードの人物はそのタンクの蓋を閉めると、ゆっくりとこちらを向いた
顔には長い嘴の付いたペストマスクを身につけていて、男か女か、日本人なのか、外見だけでは検討もつかない
「松田、アレって…」
「あぁ、爆弾だろうな。下手に撃ったらドカンだ。あの量じゃこのビルにいたらまずお陀仏だ」
2種類の液体が混ざり合うと爆発する、2液混合式の爆弾…
今ここで爆発してしまったら設置したであろうペストマスクの奴も巻き込まれてしまう
その為、おそらく時限式か遠隔式になっているだろう
幸いにも元爆弾処理班のエースがここにいる
「止められるか?」
「止められないとでも?」
「じゃ、決まりだね」
零の言葉に松田が答えれば、自ずと役割が決まる
松田は爆弾の解体、零はペストマスクの爆弾犯を、そしてオレは現状分析と2人のサポート
まずは爆弾犯の身柄を確保して…と思ったその時、爆弾犯は右袖からするりと拳銃を出し、即座に構えてオレたちに向けて発砲した
各々扉の外へと身を隠すと、爆弾犯はその隙を見て数発発砲を続けた後部屋の奥へと姿を消す
「待てっ!」
零がすぐに後を追い、松田は爆弾解除へ取り掛かる
オレはその場にあった工具の中から武器になりそうな物を探し、1階から様子を見てきたこの建物の構造を頭の中に展開した