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星降る音に祈りを【DC降谷/幼児化男主】

第11章 紅の出張


もう7年前の話である
警察学校に通っていた頃、零、ヒロ、陣平ちゃん、萩、伊達班長の5人とよくつるませてもらっていたんだ
零とは警察学校よりも前からの付き合いはあったんだけど、色々あって離れ離れになっていて、警察学校の入学式で再会
ヒロはその時に紹介してもらって、伊達班長は班長だからよくオレの面倒も見てくれて、陣平ちゃんとは零とよく衝突してたのをオレと萩で止めてるうちに萩も含めて仲良くなった

オレが姫と呼ばれるようになったのはある事件に巻き込まれた時のこと
犯人を止めるため右足で足蹴りをかましたら、見事靴がすっぽ抜けてどこかに飛んで行ってしまったのである
犯人はその場で抑え込んで現役警官に無事逮捕されていったが、オレの靴はどこを探してもみつからず、その間片方だけ靴下のままでいた
寮に戻れば替えの靴はあるし、結構履き潰していたからそろそろ新しい物を買わなくちゃと思っていたのもあって、オレはあきらめてたんだけど…

『あきめる必要はねぇってことよ。このままだとシンデレラになっちまうから、もう少し探してみよ?』

と萩の一声でオレ以外は探す気満々、辺りは既に暗くなり始めているというのに現場周辺をくまなく探してくれた
茂みの中とか、垣根の間とか、犯人を追いかけて既にボロボロだったみんなは更に身体を汚しながら一生懸命探してくれたんだ

結局みつけてくれたのは零で、ベンチに座ったオレの足元に膝をついて靴が履けるようにと足先の入口を広げてくれる
ありがと、と足を入れると、当たり前だけどオレの足にピッタリ合っていて、

『叶音ちゃんマジでシンデレラじゃん!』

なんて笑う萩、そして

『おもしれー!俺シンデレラって呼んでやるよ♪』

とからかう松田
それからちょっと考えた萩は良い案を思い付いたと提案をする

『シンデレラは長いから“姫”ってのはどうよ?』

もちろん「えー!?オレ男なのにー!」と反論したが、班長もヒロもオレは元がお姫様っぽいだなんてノリ気でいて、零も苦笑いはしていたが特に反論はしていなかった
その場で承諾はしなかったけど、それ以来当たり前のように“姫”と呼ぶ萩と松田に周りもどんどん定着し始め、気付けば零以外からは“姫”と呼ばれていたんだけど…

警察学校を卒業して間もなく、萩からはもう二度と「姫」と呼ばれることがなくなった

そう、彼は殉職したんだ…
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