第11章 紅の出張
零だって新一に言われる前は口酸っぱく言おうとしてたクセに…なんて思いながらオレの頭を撫でる零の言葉に、オレをリスペクトしてくれるのは嬉しいけど、オレが動いたから犯人を逮捕することができたわけではないと否定した
オレがあの時動けたのは私服警官が犯人と睨み合いをしていてくれたからであって、良い条件がいくつか重なってくれたから犯人を確保することができたんだ
みんなそれぞれあの時の最善で動いた結果だ
「リュウさんらしい考え方ですね」
「確かにベストが重なった結果かもしれないが、模擬訓練でこれではもう少し対策を考えていかないとマズいだろうな」
零の言う事はご最もである
何が起こるかわからない事態を経験できたのは良しとして、ご要人が来る当日にまたこんな事件があって巻き込まれてしまっては大問題だ
ご要人に何を言われようが、しっかり警備を付けて観光してもらった方が良い気がするな…
「ところで訓練はこのまま続行するの?」
「今検討中でして、上からの指示が来るまでは休憩時間にするようにと先程指示を受けてきました」
再開するにしてもあと1時間程は時間に余裕があるみたいで、零にどうするか聞かれた
観光もしたいけどこのまま清水の舞台に言ったら新一達もいるだろうし、またあの世良さんに会ったらややこしくなりそうだ
かといってここで立ち往生しているのも嫌だし…
「あっ、そうだ!」
鞄に入れてた観光雑誌を取り出し、零と風見にページを開いて見せた
「ここの抹茶パフェが食べたいです!!」
行く時間はないだろうとパフェの写真だけで我慢したけど、好きに動ける時間があるなら話は別!
部下も呼んでみんなで食べに行こうと提案すると風見はノリノリで早速部下に連絡を入れていた
零はヤレヤレと言う感じで、パフェはあんまり気が進まなかったかなと心配になったけど、
「叶音と2人でデートもしたかったかな」
なんて耳元でこっそり言われて顔が熱くなる
「部下は現地集合で来るそうです…って、リュウさん顔赤いですけど大丈夫ですか?」
「大丈夫です…!」
クスクスと笑う零はオレから雑誌を取り、反対の手はオレの手を取った
「また人質に取られては困るからね」
「では反対側は自分が守ります」
「一日に二回も人質とか勘弁だわ…」
3人でケラケラと笑いながら甘味処を目指し足を進めた