第11章 紅の出張
つられて顔を赤くしていると零が頭をポンポンしてくれて、「その調子で頼むよ」なんて言うからなんだか余計に意識してしまう
見た目はいつもの零じゃないけれど、やっぱり零は零だなって思いながら窓の外に視線を戻すと、反射した零と目と目が合ってしまい自然と俯いた
なんだか零に挟まれてるみたいでドキドキする…
車内販売でGreen teaと言って買ってもらった緑茶を喉に通しながら、早く京都に着かないかな~と京都の旅行誌を眺めた
***
京都駅に着いてからは私服警官に囲まれながら改札を出る
もちろん父役の零とは離れ離れにならないようにしっかりと手を繋ぎながら歩いて、こんなにも堂々と手を繋いで歩ける事がすごく嬉しかった
でも、この電車を降りた時こそ人混みに紛れて狙われる可能性も高くなる
電車を降りた瞬間から周りの雰囲気が変わったのがわかったのはオレが警察官だからだろうか、それとも周りが意識をし過ぎているからだろうか…
それに意識しないようにはしてるけど、私服警官の顔を全員覚えてしまったから、どこを歩くにもなんとなく目が合ってしまう人もいた
ご子息が敏感な子だったら気にしてしまいそうだな…
それにこの人混み、零と手を繋いでいても歩きづらい
周りを歩くのが私服警官だけではなく一般人も混じっているからだろう
みんなオレに合わせて速度を落としてくれてるのはすごくわかるんだけど、通路確保をもう少し上手くしてもらわないとちょっと大変だな…と思っていた時、手を引いて斜め前を歩く零がオレに振り返った
「Sorry! I didn't notice」
気付かなくてごめん、と零はオレを抱き上げてくれた
ここまでしてもらうのは本当に申し訳ないんだけど、せっかくだからと思って周りに聞こえる様に答えた
「It's hard to walk with a lot of people...」
たくさんの人と歩くのは大変って聞き取ってもらえただろうか…
駅くらいは線を張って通路を空ける対応をさせてもらわないとご子息が可哀想
警備をそれとなく外すのは駅を出てからが良いかもな…
でもオレはちょっとラッキー!
ここぞとばかりに零に抱きついて、乗り込む予定の車の前まで運んでもらうというVIP対応をしてもらっちゃった!
「零、ありがと!」
零の耳元でコソッと話した