第11章 紅の出張
「では当日について現段階で決まっている事をお伝えしますね」
そう言って追加の資料を渡された
待って風見さん、切り替えが早いです…
後ろから抱き締められたまま肩口で眠る零をどうすることもできず、仕方なくそのまま新しい資料に目を通して行った
「この資料は我々3人と、一緒に連れて行く私の部下2名のみが共有しています。ちなみに私と部下2人は降谷さんとリュウさんの安全確保と、訓練の評価員として参加します」
そうなる様に零と風見で計画を立てたんだろうと知っていても、オレと零のことを見知っているあの2人も一緒なら心強い
「オレと零の位置付けは?まさか降谷零とか安室透とか、音月リュウで参加はしないでしょ?」
「もちろんです。お二人は公安の協力者とその息子としての位置付けで、他の者には本番同様ご要人の名前を呼ぶ様指示しています。それと、ウィッグとサングラスで多少の変装はして頂きます。あ、あと会話も極力英語ですね」
「えー!?」
って仕方ないか…
「あと申し訳ないのですが、一応訓練なので非常事態を発生させて欲しいのと、こちらからも非常事態を作り上げていきますので、次の事は頭に入れておいてください」
こちらが発生させる非常事態は、人混みに紛れてしまったりオレだけ迷子になったりなど、私服警官を困らせる内容ばかり書いてあった
そしてオレ達が発生させられる非常事態は、観光客からの撮影の囲みや、不審者との接触など、要人が危険な目にあってしまう様な内容が書かれている
普通に観光できないのはわかっていたけど、これは結構ハードな観光になりそうだ…
「やるからには全力でやるよ!観光も、訓練も!」
「お手柔らかに頼みます…」
オレ達二人の全力は次元が違うと言われてしまった
「そういえば降谷さんが日付けだけは絶対に譲らないと言っていたのですが、その日は何か特別な日なんですか?」
「ん?」
そういや日付けなんてさっと見ただけでじっくり考えもしなかった
資料を1ページ目に戻して見てみると、なんとなく数字の並びが引っかかった
「…あっ!帝丹高校の修学旅行!!」
ご要人が来るのが紅葉のピーク頃だから、オレ達が行くのは紅葉始め頃だな~としか思ってなかったけど、なるほど納得…
解毒薬で戻った工藤新一の様子が見られる絶好のチャンス…
「風見、オレ頑張るっ…!!」