第4章 夜想曲/ポアロの彼と名探偵と
「じゃあリュウくんはご両親と離れて安室さんと暮らしてるのね。寂しくない?」
「うん、透兄ちゃんがいるから全然寂しくないよ!」
梓さんとの話に花を咲かせている横で、お皿を拭きながらニコニコしてる零がいた
ポアロに来て迷惑じゃなかったかなって心配してたけど、どうやら大丈夫みたい
梓さんはポアロでの零の話をたくさん聞かせてくれた
透兄ちゃんが来てから店内が明るくなったとか、料理の味が上がったとか、女性のリピーターが増えたとか
さすが零だなぁと思いながらカフェオレを飲む
「梓さん、毛利先生の所にお昼ご飯届けてきますね」
「えぇ、お願いね!」
「リュウも一緒に行こう」
「うん!」
残りのカフェオレを飲み干して、ごちそうさま!と梓さんにコップを渡す
すぐに椅子から降りてサンドイッチの乗った大皿を持った零の後に付いてポアロを出た
「透兄ちゃんはポアロで大活躍なんだね」
「梓さんが大袈裟なだけさ」
また嫉妬した?って聞かれたけど、もう嫉妬なんかしないよって答えた
だって嫉妬なんかしたらオレを一番って思ってくれてる零に悪いと思って
それに、ポアロにいるのは安室透であって、降谷零じゃない
降谷零のプライベートを独り占めできるのはオレだけだから
「ご機嫌だな」
「うん、透兄ちゃんと一緒だから♪」
階段を上がってすぐの扉を開くと、テレビのニュースに釘付けな3人がいた
毛利小五郎、毛利蘭、江戸川コナン
ニュースは先日の銀行強盗の話題で、1人の銀行員が犯人をなだめようとして撃たれて死亡したそうだ
犯人は3人組で未だ逃走中…
「しかし悪い事はできませんねぇ…」
強奪した2億円の殆どは新札ばかりで記番号がまるわかりだった…と、零がソファに座る毛利先生の背後から話に入っていく
なんでお前がここにと驚く毛利先生に、零はニコニコと答える
「毛利先生にサンドイッチのサービスを!それと紹介したい子がいまして…」
「はじめまして、音月リュウです、透兄ちゃんがお世話になってます!」
「リュウ!?」
「あらコナンくん知り合い?」
捜査資料で見た毛利蘭さんであろう女子高生に、コナンとは阿笠博士の家で仲良くしてくれとを話すと、コナンは何かを隠すように苦笑いをしていた
「リュウは僕が預かっている子なんですよ」
「じゃあコナンくんと一緒ね」