第9章 純黒の悪夢
「爆弾があったという事は奴らは必ずこの観覧車で仕掛けてくる。そしてここにある爆弾の被害に遭わずキュラソーを奪還できる唯一のルートは…」
「空から…!」
赤井の話にコナンが答えた
車の中で話した予想は外れてなさそうだ
しかし空からとなると難しいな…
「俺は元の場所に戻り時間を稼ぐ…何としても爆弾を解除してくれ」
そう言って駆け出した赤井の背に「簡単に言ってくれる…」と零が吐き捨てる
ライフルバッグの中から工具を取り出し零に手渡すと、必要な道具を選び作業を始めた
「コイツの解体にどれだけ時間をもらえるかだな…」
「焦りこそ最大のトラップだよ」
「そうだったな…」
松田の言葉を思い出し口にすると、零はハッとして俺を見ながら強く頷いた
その隣ではコナンが既に次の事を考えているようで、一点を見つめている
「やっべェ!!」
細めていた目を大きくし、コナンは突然走り出した
「何がヤバいの!?」
「NOCリストを守らないと!」
NOCリスト…キュラソーかっ!
いや、キュラソーだけじゃない!
「どうした叶音!?」
「風見を守らないと!!」
突然走り出したオレに零は驚いていたが、後ろ向きで応えながらコナンを追って行く
階段を下りて狭い通路を通った所でコナンは立ち止まっていて、観覧車の中心部分にあたるLEDビジョンの裏側の隙間から外を覗いていた
追い付いて同じようにオレも外を覗くと、観覧車の前に設置された5つのスポットライトが夜空に光を放って左右に揺れていた
「ここのスポットライトは白・橙・青・緑・赤の5色…」
そう言いってコナンが取り出したのは単語帳の様な物だった
角のボタンでカードがひとまとめにされていて、そこを中心に扇形に開いて見せてくれた
「キュラソーのポケットに入っていた物なんだ」
扇形に開かれたカードは5枚の半透明のカラーフィルム、色は白・橙・青・緑・赤…
「この配色と形って!」
そのフィルムが開かれる様子はまさに今目にした外のスポットライトそのものだった
「俺の推理が正しければ、この配色と濃度を見た時、キュラソーはNOCリストを思い出す。即ち彼女の脳こそが記憶媒体…」
キュラソーは生まれつき脳弓に珍しい損傷があり特殊な脳を持っていると、昼に運ばれた医務室での検査でわかったそうだ
まさか記憶に特価する能力を持っていたとは…
