第4章 夜想曲/ポアロの彼と名探偵と
「喫茶店で料理するんでしょ?ってことはいろんな人が零の手料理を食べるわけで、オレだけの特権じゃなくなっちゃう。ウェイターしてる零だってきっとモテモテだろうし、なんか、すごく、嫌…」
「……嫉妬してる?」
下を向きながらこくんと頷くだけの返事をした
よくもまあこんな恥ずかしいことを言えたもんだ
この身体になってから、零から離れたくない気持ちや独占したい気持ちが強くなったような気がする
「叶音…」
席を立ってオレの方に来た零がポンポンと頭を撫でてくれる
「零ごめん、仕事だから仕方ないよね!こんなんで嫉妬してたら公安なんてやってらんないな!」
「僕は叶音に美味しいって言ってもらえるのが一番幸せだし、何を作っても食べてもらいたいと思うのは叶音だよ」
そっとぎゅっと抱きしめてよしよししてくれる零
子どもじゃないのになって思うけど、こうやって零を感じられるのはすごく安心するし、すごく好き
「さ、早く食べて登庁するぞ」
「えー、出勤する気なくなっちゃった」
「ダメだ。僕達が仕事をしなきゃ誰が日本を守るんだ?」
そうゆうところ、ホントしっかりしてるよ
あーあ、もっとゆっくり零のご飯食べたかったな…
なんて言ったらもっと早く起きたら良いって言われそうだから言わないけど
「叶音の今日の予定は?」
「今日は昨日のまとめをして、あと何件か分析頼まれた事件があるからずっと研究室かな」
「じゃあポアロが終わったら研究室に向かうようにする」
やった!今日は一緒に帰れる♪
ただそれだけで今日は仕事が捗りそうと思うのは単純だろうか
こんな穏やかな時間が毎日続けばいいのにな……
今日も零の日本の為に頑張ろう