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私達の終点【進撃の巨人】─更新停止─

第1章 一度見た世界


それは壁の中の歴史にある。

何故なら人類が壁の中で過ごして今日まで100年間一度も巨人に壁を破られた事はないからだ。

外側からウォールマリア、ウォールローゼ、ウォールシーナ。
しかもそれぞれ壁の高さは50mあり、幅は10m。

調査兵団による壁外調査の報告書では討伐した巨人の中でも壁の半分を越えた巨人はまだいないらしい。
奇行種が壁に向かって飛び上がっても全く届かないくらいだ。

外にさえ出なければ巨人が内側に入ってさえ来なければ人類は今まで通り当たり前の日常を過ごせると誰もが確信していた。

その為に人類はこの壁が壊される事を当たり前の暮らしが脅かされる事も考えた事がなかった。
いや、出来ないのだ。


「……それじゃまるで…
"家畜"じゃないか」


それまでヘラヘラしていたハンネス達もエレンのその言葉が喉に刺さった魚の小骨のように感じた。

「行こう、エレン。エレナも」

一度退いた方が良いと判断したミカサは立ち尽くす彼らを放ってエレンとエレナに帰ろうと促す。

エレンはいつも言っていた。
いつまでもこの状況に胡座をかいて座っているだけでは駄目だと。
誰かが動かなければ、と。
つまりは、調査兵団に入りたいと言う事だろう……。

「……エレン。調査兵団はやめた方がいい…」
「なんだよ……お前も調査兵団をバカにすんのか⁈」
「バカにするとかそう言う問題じゃない」

調査兵団に入れば危険が伴う。
それは壁の外の自由を得る為の代償とも言える。
彼らは己の命をも掛けて自由を求める。
そこに深い悲しみや残酷な現実が付き纏うと知っていても。

壁の外が本当に自由だと……、
私達が命を賭けてまで求める程の価値があるというのだろうか?
私達はきっと───、

『きっと、な─も───いま──んだ─が─わ───きっと』
「は?」


カンカンカンカンカンカン!!!!


突然鐘の音が街中に響き渡り、人々の話し声で辺りがザワザワし始めた。
それは壁外調査に出掛けていた調査兵団が帰って来た知らせであった。


私は今、一体なんて言ったのだろう。

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