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私達の終点【進撃の巨人】─更新停止─

第1章 一度見た世界


いつもは午前中から夕方にかけての診療が主な仕事だったはず。
この時間からの診療は珍しい。

そんなやり取りといつもの家族団欒が始まろうとしていた中、ずっと黙り込んでいたミカサが口を開いた。

「……、エレンが…調査兵団に入りたいって…」
「ミ…ミカサ!!言うなって「エレン!!」」

ミカサのその言葉を聞いたカルラは即座に強く反対した。

「何を考えているの⁈壁の外に出た人類がどれだけ死んだか分かってるの⁈」
「分かってるよ!!」

そんな二人の言い合う様子を黙って見守っていたグリシャは真っ直ぐな眼差しでエレンへと問いかけた。

「エレン、どうして外に出たいんだい?」
「外の世界がどうなっているのか何も知らずに一生壁の中で過ごすなんて嫌だ!!それに…」

誰もが目を見張った。
それぞれ、どのような思いで聞いていたのかは知らない。


「"ここで誰も続く人がいなかったら今まで死んだ人達の命が無駄になる!"」


その瞬間、エレナは思った。


"私はこの曇りなき真っ直ぐな眼差しを知っている"


「……、そうか…。船の時間だ、そろそろ行くよ」
「ちょっとあなた!エレンを説得して!!」

グリシャはそうか、と一言だけ残すと納得いかないカルラをやんわりと宥める。

「カルラ…人間の探求心とは誰かに言われて抑えられるものではないよ」

エレンはまさか自分の味方をしてくれると思っていなかったので驚きを隠せなかった。
しかしエレナはお父さんならきっとそう言うだろうと思っていた。
いや、正しくは確信していたのだろうか。




『お父さん気をつけてね』
「いってらっしゃーい!」
「あぁ、ありがとう。…行ってきます」

元気よく見送るエレンに対してミカサとカルラは神妙な顔つきをしていた。
グリシャの姿が小さくなった後、ようやくカルラは口を開いた。

「…エレン」
「…なに?」

次に何を言われるのか想像できているエレンは苛立ちを隠せなかった。

「駄目だからね、調査兵団なんてバカなマネ──「は⁈バカだって…⁈」」

想像の通り調査兵団への入団を許可しないと言うカルラに聞く耳なんて持たないとエレンは歩き出す。

「オレには…家畜でも平気でいられる人間の方がよっぽどマヌケに見えるね!」

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