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【男主】長編【東京卍リベンジャーズ】

第30章 サイレント•マジョリティ





数週間後。
いつも通り見舞いに行くと、既にあいつの姿はなかった。

ムカついた。ふざけんなよ、毎日そばにいたのになんで一言もねえの?
あんな薄情なやつはもう放って、アイスでも買って帰ろう。
そう思ったはずなのに、気づいたらバイクを走らせて八王子に向かっていた。

のアパートに行った。
インターホンを押しても反応がなく、人がいる気配もない。

次に廃ビルに行った。
アパートにいなければ大体ここにいる。
だが、の姿はなかった。

電話をかけても繋がらない。
急激な不安に襲われる。
もし、もしまた、誰かに捕らえられていたら。襲われていたら。
想像しただけで脳天まで震え上がった。

オレはバイクを乗り捨て、八王子の街を走り回った。







暫くして、白い集団を見つけた。
デス・ロウの特攻服だ。

どこだ、どこだ、
どこにいる
、嫌だ、ふざけんな、いなくなるなよ、オレはまだお前と、





「あー!燃えるゴミの袋足りねえ!」






足が、自然に止まる。
声の方に視線を向ける。

ただ一人。
周りの人も、車も、ビルもぼやけて、そいつにだけピントが合う。



いた。そこにいた。生きてた。生きてる。



気づいたら走り出していた。




「ッ!わぁ、誰!?…って、隆くんか、びっくりしたァ!」


恋がこんなに苦しいなんて、オレは知らない。


「いきなり後ろから抱きしめてくるなんて大胆〜、って、おーい?隆くん?聞こえてる?」


心が引き裂かれそうなほど、オレは




「…え、うそ……もしかして泣いてる………?!うわ!めっちゃレア!隆くんが泣いてるー!」




お前がいないと、ダメなんだ


「……っ、馬鹿野郎!連絡くらいしろ!」
「ひっ、怒らないでよ!ただでさえ顔怖いんだからさぁ君!

ごめんね、今日清掃の日なの忘れてて、バタバタしてたの。
もうあと30分で終わるからさ、待っててよ」
「…待っててもヒマだし、手伝ってやるよ」
「え!いいの!?やったね!ついでにうち入る?」
「今日本で一番入ったら危ねぇ暴走族だって言われてる自覚あんのか?」
「えへへ〜それほどでも!」
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