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【男主】長編【東京卍リベンジャーズ】

第30章 サイレント•マジョリティ


「三ツ谷、俺はやらなきゃいけない事がある。を頼む。」

真っ白い個室の病室。
青白い肌で横たわるを見る。
生きているのか不安になるほどに血色のない肌色に、体が震えた。

「…どういうことだよ。何があった、九条」
「……足立のヤクザに拉致られて、無理矢理シャブ入れられた後に散々ボコられたんだよ」
「!?シャブって……!!」
「今は急性中毒で意識を失ってる。さっきまで痙攣してた、…」

注射痕を探そうと思ったが、どちらの腕も包帯で巻かれているからわからない。
嘘だと思いたい。

「……ックソ!!!もう少し俺が早く気づけばッ……!!なんで、なんでいつもッ…!!」

瞳に水の膜をはり、悔やむように病室の床を睨みつける九条。
命からがら救い出したのか、九条自身もあちこち傷だらけだ。

噛み締めた唇からは、血が滲んでいる。


「…もうそろそろうちの集会の時間だ。が戻るまでは俺が総長代理だから行かなきゃいけない。を頼む」
「…わかった」

病室のスライドドアが閉まる音がし、九条はその場を後にした。

「……」

青白い頬に手を伸ばす。
その冷たさに驚いた。
いつもならもっと暖かいのに。オレはその、血の巡りが伝わってくるような優しい温もりを知っている。

『ふふ、隆くんっ!』

ふいに、中学時代のこいつの笑顔が蘇って涙が滲んだ。
どうして。どうしてこんなことに。
こんな変わり果てた姿、見たくはなかった。


愛している。


「ん………ぁ………」
「!、目が覚めたのか!」

すぐさまナースコールを押し、意識が戻ったことを看護師に伝えた。

「たか、し、く……」
「ああ、オレだ!」
「…ゆめ、?…おれ、いきてる…?……」
「しっかりしろ!夢なんかじゃねぇよッ…」

好きだ。
優しい声も、子供みたいに笑う姿も、たまに驚くほど大人びた顔をするところも。
わがままなところも、すぐ泣くところも、全部好きだ。

もうやめようぜ、こんな世界にいたっていい事なんかない。
もう兄貴の仇はうったんだろ?なら、二人で何も無い場所に行こう。

もう、やめてくれ。


ガラッと病室の扉が開く。
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