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【男主】長編【東京卍リベンジャーズ】

第30章 サイレント•マジョリティ




一年半前のあの時。何故たった一人でやったのか、何故何も言ってくれなかったのか。凛にそう言われた。

巻き込みたくなかったと言ったら、あの時と同じだと力なく吐き捨てられた。

確かにそうだ。凛の言う通り、ゴリの時も誰にも何も言わなかった。
だけど、あの時とはちがう。
あの時はほかのメンバーに危害が及ぶことを恐れ、やり方を間違えた。

それなら、危害を加える者は一人残らず消せばいい。
これが俺が導き出した答えだ。

ごめんね、と囁いて、項垂れる凛の頭をそっと自分の肩に抱き寄せた。


あの時の記憶が、走馬灯のように頭を駆け巡る。


もう、今の東京の暴走族の事情はわからない。
DES・Rowは相変わらず奉仕活動に精を出している。
変わったのは、あの時以来喧嘩を売ってくるやつが一人もいなくなった事だ。そして、関わってくる奴も。
(――そういえば、一度だけタイマンを挑んできたデカいやつがいたな。柴、なんだっけ。まあ、いいや。)

凛曰く、どうやらあの日廃工場に目撃者がいたらしい。
俺がヤクザ一派を一晩で消した噂(真実だが)は一気に流れ、めでたく不良界隈で「絶対に近づいちゃいけない奴」認定されてしまったようだ。

そういうわけで、今の派閥は知らない。
武道くんが最近、どこだっけか、首領が女の子の所。そこに入ったという話は耳にしたが、割とどうでも良い。


どうでも良い。



「おい、まだ意識あるかぁ?」


声にハッとする。
それもつかの間、腹に蹴りを入れられ堪らず嘔吐する。

「グッ…!うぇッ……!!」

「ガキが舐めたことばっかしてんじゃねえぞ」

「ハァ、ハァ、うっ……」

視界が揺らぐ。もう何もわからない。
全ての音が、どんどん遠のいていく。


わからない


「ッ…!」

凛?来たの?
俺にはもう、
その声が現実なのかさえ



わからない




わからない?




現実さえ





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