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【男主】長編【東京卍リベンジャーズ】

第29章 地獄へ



「遺体は全部、馴染みの病院に運ぶよう手配してある。診療報酬をだまし取る貧困ビジネスに手を染めた馬鹿な病院だよ。
偽装の証拠は全部俺の手元。もし俺が捜査されたら病院も終わる、だから俺に協力するしかない。

殺した60人分の死亡診断書を全て偽装するよう指示した。あれは馬鹿なチンピラが工場で火遊びをして起きた『事故』になるはずだよ」

言葉が、出ない。
こいつは、この間中学校を卒業したばかりだ。オレと同い年だ。
その年齢で病院を牛耳る、そんなことが果たして可能なのか?

否、できるのだ。
それが、この西八王子を「守ってきた」という男だ。

こいつは、今まで守ってきた分支配することもできる。

誰がこいつを東京最強の中学生と謳ったのだろう。
そんな生ぬるい生き物ではない。
悪魔だ。

「念の為警察にも賄賂渡したし、何も問題はないよ」
「………」
「…なに?」

胡座をかく自分の腿をポンポンと叩く。

「ここ、来い」
「へ?」
「いいから早く来い」

有無を言わさず促すと、素直に従いオレに跨る。
そのまま腰を降ろし、居心地の悪そうな顔で顔を見てきた。

「なんなの、急に」
「オレがいる」
「は?」

「お前がどんな道を選んでも、オレはお前から離れねえ。今までと何も変わってない。これからも、変わらずを愛してる」

「っ…」

素直なオレの気持ちだ。
ただただ自分の気持ちを、真っ直ぐ伝えた。

は眉を八の字に潜め、顔を逸らす。

「………怖くないの?」
「お前がか?こんなヒョロヒョロのチビにオレがビビるわけねえだろ」
「ちょっとっ……ん……」

話そうとしていた言葉ごと、閉じ込めるようにに口付けをする。
怖くないというのは、嘘だから。

怖いと思う。
人を殺す事に躊躇いがない。近くにいたらやがて自分も殺されるかもしれない。
そうわかっていても、のそばにいたいと思った。

いつか人は必ず死ぬ。
ならば、こいつに殺されるのもいいかもしれない。心からそう思う。

「俺の行く先が地獄だとしても、俺といたい?」
「ああ、どこでも連れてけよ。お前がいるならなんだっていい」


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