第27章 篝火
「な、なんでっスか……さん……っ」
「ずっと気になってたんだ。
いつも何かしら事件が起きれば、君は必ずそこにいる。
君、何者なの?」
ゴクリと唾を飲み込む。
この人はやはり人を見る目が優れている。
凄い気迫だ。
「嘘ついたらすぐ殺すから
知ってる事、今すぐここで全部吐けよ」
『タケミっち…!さんが、さんがっ…………!!』
大量殺人で指名手配されていたさんがついに捕まった。
美形すぎる殺人鬼としてネット上では熱狂的な信者が現れ、メディアはそれを批判した。
捕らえられたさんは、法廷で側近の雪村さんとともに死刑判決が言い渡された。
その一週間後、二人は脱獄した。
『主犯の死刑囚が看守を誘惑し、雪村死刑囚と脱獄したと思われます。
関与した看守は港で射殺されました。』
さんは国外に逃亡した。
『さんが、最後に、来たんだ、オレのところにっ…!オレも連れていってくれっていったのに…!!』
現代で、やつれた顔で嗚咽を零しながら泣いていた千冬を思い出した。