第26章 慟哭
「千冬ッ、千冬の顔みたいからッ…!」
「ッ……煽らないでください」
ズルっと引き抜かれたと思ったら、体を反転させられ布団に押し付けられる。
かと思えばすぐさま中にねじ込まれて、たまらず体が跳ねる。
「ん゛ッ!?あぁぁッ!!」
「さんッ…さんッ…」
「あんっ!あぁッ、!千冬ッ…!
好き、好きだよッ!あぁっ、すっごいエロいッ…!ほんとかっこいいッ…」
「…ッ、反則でしょッ…!」
ただでさえ激しかった抽挿がより激しさを増してテンポも早くなる。
優しく抱きたかったという割にガツガツと無遠慮に突き上げてくるのが堪らない。肉食動物に食べられている気分だ。
「もう無理!またイっちゃう!出るッ…!」
「いいっすよ、ッ、オレもッ……!!」
覆い被さるように上半身を倒し、俺の体を抱きすくめてよりズンズンと動きが加速する。
畳み掛けるような快感に俺はあっという間に達した。
「あ゛ぁあああぁッ!!?」
「ッ……はァッ…!」
俺を抱く腕に力がこもる。
しがみつきながらブルッと体を震わせ、中で吐精している千冬姿は何よりも愛おしく感じた。
金色のふわふわした髪をくしゃっと撫でる。
「よしよし、いっぱい出せて偉いね」
「……足りねぇ」
「ちょっと!いい加減にしてよね、俺のこと殺す気?」
「…わかりました」
「いい子」
布団の上で情事後の甘ったるい時を過ごした後、二人でソファに座ってテレビを観た。
観ている間に俺は疲れから眠ってしまい、気づいたら朝になっていた。
千冬が抱えてくれたのか、ソファにいたはずが布団の上に移動しており、隣にはすやすやと眠る千冬がいた。
「…可愛い寝顔。犬みたい」
独り言を呟き、柔らかい髪に触れる。
千冬の言動に、自分の気持ちが揺らいでいる事に気づいてしまった。
この子の鋭い瞳は、真っ直ぐな言葉は、人の心を射抜く。
もし千冬と付き合ったって、下のやつらは何も言わないだろう、むしろ祝福すらしてくれるはずだ。
でも、
「……」
凛はどう思うんだろう。
どうしてもあいつの姿が浮かんでしまうのだ。
それに、千冬はもうカタギだ。
俺と付き合ったら、未来ある後輩すら危険な目に合わせてしまう可能性だってある。
それは、本意ではない。
だから、
「………待っててね、千冬」
君ならずっと、待っててくれるはずだから