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【男主】長編【東京卍リベンジャーズ】

第5章 九条


身寄りがなく、施設でも酷い虐めに合い俺はそこから飛び出した。
その日は雨で、傘も持たずに走り回り、お腹も空いて疲れ果てて、ついに熱が出て路地裏に倒れ込んでしまった。

ボロボロで汚い俺を、通りすがる大人は見て見ぬふり。
ただ一人、自分より小さな子供が俺を助けてくれた。

『大丈夫、もう大丈夫だからね』

そういって、ドロドロになりながら俺を背負った。
次に目が覚めた時には、見知らぬ家にいた。

『あ!起きた!体はどう?』
『…大丈夫』
『そう、よかった。君、名前は?』
『九条、凛…』
『へえ、俺はだよ。はい、お粥作ったから一緒に食べよう』

誰かの手料理を、誰かと一緒に食べる。
こんなに暖かいのは、はじめてだった。

『いくとこないなら、うちに入りなよ』
『うち?』
『うん、うちのチーム。兄貴が作ったチームでさ、総長も兄貴なんだけど、事故や虐待で親と離れちゃった子達も沢山いる』
『…』
『デス・ロウっていって、暴走族だけど、ヤクザから街を守ってる。だから、寮とかも街の人達が支援してくれてるんだ。まだ空き部屋あると思うよ』
『ぼ、暴走族…』
『大丈夫!みんながみんな喧嘩してるわけじゃないよ。強い人は喧嘩するけど、そうじゃない人は地域のボランティアしたりしてる。
もしまだ決まんなくても、とりあえず寮泊まっとけば?俺が頼んであげる!』



『え、この人がの兄貴…?』
『そう!みんなその反応!俺普通なんだよ顔はっ…!』
『俺は兄貴かっこいいと思ってるよ』
『お前が言うな!嫌味に聞こえる!
んで、凛だっけ?寮住みたいのね、いーよー!
あ、掃除は自分でしろよな?』
『え、あ、ありがとう、ございます…』
『ふふ、俺に似て色々軽いでしょ?』


『よう新入り!』
『こ、こんにちは…』
『大さん!まだ凛は入ってないのー。寮に住まわせるだけ!』
『お、そっかそっか!悪ぃね!お前ベビーカステラ好きか?』
『え、えと…』
『大さんはね、毎年お祭りでベビーカステラの屋台やってるから作るのすっごく上手なんだよ』


の兄貴も、
デス・ロウの皆も、

全てが優しかった。



中1の春、の兄が殺された。
総長は弟のが引き継いだ。
それと同時に、俺は正式にデス・ロウに入った。

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