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【男主】長編【東京卍リベンジャーズ】

第23章 関東事変



「万次郎っ…!」

俺より身長の低い万次郎の身体を抱き寄せる。

「大丈夫、万次郎、大丈夫だ。俺がいる」
「………オレ」
「何も言わなくていいよ。俺と二人でここにいよう」

まるで世界の終わりに二人だけがそこいるような、不思議な感じがした。
無敵のマイキー。俺よりも身長が低いのに、背中がいつも大きく見えた。

同じ総長だけど、俺とこいつは違う。
俺はみんなに甘えまくってるけど、こいつは人に頼らない。
我慢して、耐えて、全部背負って。
東卍連中は「マイキーくんがいるから大丈夫だ」と、絶対的な信頼を万次郎に置いている。

それがどれだけ重く伸し掛るか。俺にはわかる。

「万次郎、お前が背負ってるもの、俺にも少し分けてよ……」

そう言ったところで、きっとお前は、全部一人で抱えるんだろう。

そんなの、辛すぎるのに。


「…」
「どうしたの?」
「今日、夜10時から、天竺と抗争だ」
「!?もう始まってるじゃない!万次郎、それなら俺が…っ」
「ちがうんだ…………、オレはどうしたらいい?」
「万次郎……?」

「オレ、東卍だけじゃない……イザナも守りたいんだっ……」

そういって、涙を流した。
なんて綺麗な涙なんだろう、気づいたら、その頬に流れる涙を、己の口ですくっていた。

「わかったよ、万次郎。それなら、万次郎が行かなきゃいけないね」
「ああ」


「いってあげな、みんなのところに。俺、待ってるから」


病院の自動ドアが開き、ドラケンがこちらに近づいてくる。
俺はドラケンに目線だけで「頼んだ」と伝え、ドラケンが頷いたのをみて病院を後にした。










黒川イザナ。良くは知らないが、一度神奈川から乗り込んできた暴走族を沈めた際こう言われたことがある。

『テメェ…アイツと同じだ……黒川イザナと同じ………人を殺す拳だ…………』

「人を殺す拳、ね……………」


きっとこの戦いは、東卍が勝つ。
それは願望ではない、確信だ。






後に関東事変と呼ばれたこの抗争。
総勢約500人による戦いは、逮捕者5名、死者3名を出す凄惨な結果で幕を閉じた。



「お疲れ様、万次郎」
「ああ」
「少し歩こうか」

エマちゃんの葬式が終わった。

暗い夜道を、どちらともなく手を繋ぎ彷徨う。
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