第23章 関東事変
2月22日 武道くんから電話が来た。
「三ツ谷君が、意識不明の重体です…!」
頭の中が真っ白になった。
八王子から隆くんのいる病院までの記憶はほとんどない。
ただただ無我夢中でバイクを走らせた。
「隆くんっ!」
病室を開けると、頭に包帯を巻いた痛々しい姿でベッドの上で上半身だけ起こしている隆くんと、その側近の八戒くんがいた。
「おう、」
「おうって…!隆くん、どうして、そんな怪我…!もしかして…」
東卍と天竺が全面戦争をするかもしれないという話は、万次郎から聞いていた。
「天竺のやつらに、襲われたの、隆くん」
「…そんな顔すんなよ」
困ったように笑って、ベッドの傍の椅子に座った俺の頭を、いつものように優しく軽く叩く。
「……わかった、全員殺してくる」
「まてまてまて!」
立ち上がろうとした俺の腕を阻止するよう掴む。
「なんで?止めないでよ」
「ダメだ。これは東卍と天竺の喧嘩だ。お前んとこの力借りて戦うなんて示しがつかねえだろ。これは東卍としてのプライドだ」
「…………わかった。でも、もし東卍が潰されたら俺らが天竺潰すからね」
「お前…案外好戦的だよなぁ…」
とりあえず、隆くんが無事でよかった。
しばらく隆くんと話してると、万次郎から電話が来た。
「もしもし、万次郎?」
『………、今、どこにいる』
「今?隆くんが重体だって聞いたから病院にいるけど……どうしたの、変だよ万次郎」
『…1階のロビー、来てくれ』
「万次郎…?病院いるの、ちょっと待ってすぐ行くから」
声が明らかにいつもと違う。生きることに疲れたような、
「ごめん、俺万次郎のところに行ってくる」
隆くんにそう言い残し、俺は1階に走った。
「万次郎!!」
そこに万次郎はいた。
「………」
「どうしたの、万次郎、怪我してるし……それに……」
「…………エマが、死んだ………………」
「……………え?」
理解が追いつかない。何を言っている?エマちゃんが?
「もしかして…天竺……………あいつらッ…!!」
隆くんにはああ言われたけど、やはり無理だ。俺が
「……、そばにいくれ、頼む……………」
消え入りそうな万次郎の声に、ハッとした。
万次郎は、兄に加えて妹まで………
残酷すぎる