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【男主】長編【東京卍リベンジャーズ】

第22章 愛を



壁に体を押し付けられ、下から睨みあげられる。

「なにしてんの?隆くん。お前は俺と一緒にいるのに、何で女と喋ってんだよ」

口調がいつもより汚い、本気で怒っているのが伝わってくる。

「俺よりあんな女のがいいの?」
「んなわけねーだろ、向こうが急に声かけてきたんだよ。ちょっとは落ち着け」

両手での顔を包んで、ぶにっと寄せる。
あの端正な顔が崩れているのが面白くて、ぶふっと思わず笑ってしまった。

「……隆くんの馬鹿、かっこよすぎるから声かけられるんじゃん、自覚しなよ」
「お前にそれ言われてもなぁ…」
「今は隆くんの話してるの!」

かわいい。
かわいいし、さっきの女には悪いが、「俺の男」発言にずっと内心浮かれている。

「………これ」

小さく呟いて、小さな紙袋を渡した。
さっきのアクセサリーショップの袋だ。
あの店は確かにデザインは良かったが、値段もなかなかだったはずだ。

「開けてみて」

そういうので、紙袋から正方形の小さな箱を取りだす。
箱を開けると中にはシルバーに輝く美しいリングが入っていた。

「俺と、お揃いだから。それ」
「っ………」

そういって、左手の薬指を見せてきた。
目頭がカッと熱くなる。

「……お前…」
「ぷ、プロポーズとかじゃないからね!勘違いしないでよ!?動物園の時のお返しなだけでっ…!」

ギュッとその小さな体を強く抱きしめる。
言葉が出ない、この胸の奥から熱く湧き上がる感情を、なんて言葉にしたらいいのかわからない。

「………………マジでお前のこと、一生大事にするから」
「………なにそれ、それこそプロポーズじゃん」

強く抱きしめた力を緩めて、顔を合わせて見つめ合う。
どちらともなく、オレたちの唇は優しく触れ合った。

もう、このまま死んでしまいたい。この幸せな気持ちのままこの世から去ることができたらどれだけ幸福だろう。

「…あのリング、高かっただろ」
「んー、まあ俺、その辺の大人よりお金もってるから」

そういってニッコリ笑った。
前宴会の時にデス・ロウのやつが言っていたな、総長は腐るほど金持ってるのに何故か好き好んでボロアパートに住んでいると。

「さ、デートの続き行こ?」

ビルの裏路地の出口から、光が注がれる。
その光に導くように、手を差し出してくるの姿は天使に見えた。
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